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ご相談の多い症状・お悩み

のどのつかえ感

「のどに何か詰まっている感じがする」「飲み込みにくい」「つばを飲むとひっかかる気がする」——こうした “つかえ感” は、痛みや強い症状がないため、ついそのままにしてしまいがちです。しかし、のどのつかえ感は体からの小さなサインのことが多く、原因は1つではありません。

症状が軽いうちに原因を見極めることで、改善できることが多くあります。まずはご自身の状態に心当たりがないか、丁寧に振り返ってみましょう。

考えられる主な原因

のどのつかえ感は、大きく「器質的な原因」と「機能的な原因」に分けられます。

器質的な原因/体の構造の変化によるもの

  • 咽頭炎、扁桃炎などの炎症
  • 甲状腺の腫れ
  • 首周りの筋肉の緊張
  • 食道の炎症や狭窄
  • 食道裂孔ヘルニア
  • 腫瘍(まれ)

これらは、のどの組織が腫れたり、圧迫されたりすることで「通り道が狭くなっている」状態です。

機能的な原因/形に異常がないのに起こるもの

  • 胃酸が逆流して起こる 逆流性食道炎
  • のど周りや食道の自律神経の乱れ
  • ストレスや緊張による筋肉のこわばり
  • 生活習慣(食べ過ぎ・早食い・不規則な睡眠)

身体の形には異常がなくても、筋肉や神経の“リズムの乱れ”がつかえ感の正体となることがあります。

なぜ「つかえる」ように感じるのか

のどは、
  • 呼吸
  • 飲み込み(嚥下)
  • 声を出す動き

この複数の動作を同時に行う繊細な器官です。そのため、筋肉がわずかに硬くなったり、胃酸がわずかに逆流したりするだけで、「何か引っかかっているような感じ」が生まれます。つまり、症状の大きさと原因の大きさは比例しません。小さな乱れでも、不快感が強く出ることがあります。

放置した場合に考えられること

  • 胃酸逆流が続く → 炎症が慢性化して治りにくくなる
  • 筋肉のこわばりが続く → 症状がクセとして残る
  • 不安・緊張の悪循環 → 余計に症状が意識され強くなる

「いつか治るだろう」は、じつは症状を長引かせる最もよくある原因です。

受診の目安

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
  • 2週間以上つかえ感が続く
  • 胃もたれ・胸焼けを繰り返す
  • 食べ物が飲み込みにくい
  • のどよりも 胸のあたりがつかえる感じがある
  • ストレスで悪化したり波がある

「大したことない」と感じていても、原因が明確になると安心できます。逆に、原因がハッキリしないまま放置すると、不安や違和感だけが残りやすくなります。

検査について

症状に応じて、次のような検査を行います。
  • 内視鏡検査(胃カメラ):のど・食道・胃の炎症や腫れを直接確認
  • 頸部のエコー検査:甲状腺の腫れやしこりの有無を確認
  • 血液検査:炎症やホルモンバランスのチェック

必要のない検査は行いません。症状や背景を伺ったうえで、最も可能性が高い原因から評価します。

治療とサポート

  • 胃酸逆流がある場合 → 胃酸を抑える薬
  • のどの筋肉がこわばっている場合 → 筋緊張を和らげる調整
  • ストレス要因が関係する場合 → 自律神経バランスの改善
  • 生活習慣の調整 → 食事タイミング / 姿勢 / 睡眠

ポイントは、あなたの生活の流れの中で「無理なく続けられる方法」を選ぶこと。

「気のせいかもしれない」と思うと、受診をためらう方が多い症状です。しかし、不調のサインは “気のせい” の段階で向き合う方が、確実に改善が早い。

あなたの生活に合わせた方法で、原因の解消と予防まで一緒に考えます。不安なまま様子を見る必要はありません。

胸焼け・つかえ感について

「胸のあたりが熱い」「食後に胃酸がせり上がってくる」「のどの奥がヒリヒリする」「食べ物がつかえて降りていかない感じがする」——こうした症状は、胃酸が食道へ逆流することが大きな原因になっていることが多いです。

一時的な不調として見られがちですが、繰り返す胸焼けは、食道の粘膜をじわじわと傷つけていく可能性があります。症状が軽いうちに調整することで、改善しやすく、再発を防ぎやすくなります。

考えられる主な原因

胸焼けやつかえ感は、主に次の要因によって起こります。

① 逆流性食道炎(胃酸逆流)

胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜が酸に触れ、炎症や不快感が生じる状態です。

  • 食後に症状が出やすい
  • 前かがみ・就寝中に悪化しやすい
という特徴があります。

② 食道の動きの乱れ

食べ物を胃へ送る 食道のぜん動運動が弱い・リズムが乱れている場合、「つかえて降りていかない」感覚が出ます。

③ 胃の働きの低下

胃がうまく収縮せず、内容物が長時間とどまると、胃酸量が相対的に増え、逆流しやすくなることがあります。

④ ストレス・自律神経の影響

自律神経が乱れると、胃酸分泌や筋肉の緊張バランスが崩れ、同じ食事でも症状が出たり出なかったりする波が生まれます。

なぜ「胸が焼ける」「つかえる」と感じるのか

食道は、本来 酸に触れることを前提にしていない“弱い粘膜” です。そこへ胃酸が逆流すると、食道の内側にじわっと炎症が起き、

  • 熱いような痛み
  • ヒリつくような不快感
  • つかえる感覚
  • のどの違和感

として現れます。炎症自体はわずかでも、不快感は強く感じやすい のが胸焼けの特徴です。

放置するとどうなる?

  • 食道の炎症が慢性化し、治りにくくなる
  • 痛み・つかえ感が “クセ” として残る
  • 食事が楽しくなくなる
  • 睡眠の質が低下 → 日中の疲労感が増える

さらに、炎症が長期間続くと “バレット食道” という状態になる場合もあり、定期的な観察が必要です。

受診の目安

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
  • 月に数回以上、胸焼けを感じる
  • 食後に逆流感・こみ上げる感じがある
  • のどの奥が常にヒリヒリする
  • 症状が良い日と悪い日を繰り返す
  • 胃薬で一時的にしか改善しない

「強い症状」ではなくても “繰り返す” ことが大切なサインです。

検査について

症状に応じて、必要なものを選びます。

  • 内視鏡検査(胃カメラ):炎症・逆流の程度、食道の粘膜の状態を直接確認します。
  • ピロリ菌検査:慢性胃炎を引き起こしやすいため、必要に応じて実施。
  • 頸胸部の状態確認:つかえ感の部位に応じて評価します。

検査は「不安をなくすため」のものです。強制ではありません。

治療とサポート

  • 胃酸を抑える薬(効果が出やすい)
  • 胃の動きを整える薬
  • のどや胸周りの筋緊張の調整
  • 食事・姿勢・睡眠リズムの整え
  • 生活に合わせた再発しにくい習慣形成

ここで大切なのは、“薬で抑えて終わり” ではなくなぜ症状が出やすい体の状態になっていたかを調整すること。無理な制限は必要ありません。あなたの生活リズムに合わせた改善方法を一緒に考えます。

不安なまま様子を見る必要はありません

胸焼けやつかえ感は、「まだ大丈夫」と放置されやすい症状です。しかし、早めに整えることで、

  • 食事が楽になる
  • 不快感が減る
  • 胃腸の調子が整う
  • 身体の疲れが取れやすくなる

といった “生活の質の向上” が実感しやすい症状でもあります。気になることがあれば、いつでもご相談ください。

みぞおちの痛みについて

「みぞおちのあたりが重い」「じんわり痛む」「キリキリする」「食後に苦しくなる」——こうした みぞおち周囲の不快感や痛み は、胃や十二指腸の状態が影響していることが多くあります。

痛みの強さと、原因の重大さは比例しません。軽い症状でも、背景で 胃酸の分泌や粘膜の炎症、自律神経の乱れ が進んでいる場合があります。「よくあること」ではなく、体からのサイン と考えてあげることが大切です。

考えられる主な原因

みぞおちの痛みは、大きく次の原因が考えられます。

① 慢性胃炎

胃の粘膜が弱った状態で、
  • ストレス
  • 食べすぎ
  • 早食い
  • 飲酒
といった刺激で、炎症が出やすくなります。

② 胃酸過多 / 逆流性食道炎

胃酸の分泌が増えていたり、胃の内容物が逆流していると、胃の壁が刺激され、痛みや違和感の原因 になります。

③ ピロリ菌感染

ピロリ菌は、慢性的な炎症 → 胃の弱りを引き起こし、長期的には胃の粘膜環境に影響します。

④ 胃や十二指腸の潰瘍

粘膜の防御力より、胃酸などの刺激が強まると、粘膜にキズ(潰瘍)ができ、痛みとして現れます。

⑤ 自律神経の乱れ

精神的なストレスや疲労によって、胃の動きと血流が低下 → みぞおちに重だるさが出やすくなります。

なぜ「みぞおち」に痛みを感じるのか

みぞおちは 胃と神経が集中する部位です。胃の状態が少し乱れるだけで、その変化を“痛み”として感じやすくなります。特に、

  • 胃酸の分泌バランス
  • 胃の動きのスムーズさ
  • 自律神経の安定
  • 粘膜の防御力

これらがわずかに崩れただけでも、「キリキリ」「重い」「押されるような感じ」が出てきます。

放置するとどうなる?

  • 痛みの波が慢性化
  • 食べると症状 → 食事そのものがストレスに
  • 胃の負担 → 全身の疲労感、眠りの浅さ、集中力低下
  • 生活習慣による悪循環が進む

症状は、初期に整えるほど回復が早いのが特徴です。

受診の目安

次のような場合は、一度原因を確認することをおすすめします。

  • 2週間以上同じ症状が続く
  • 食後にみぞおちが重くなることが多い
  • 空腹時にキリッとした痛みが出る
  • 胃薬を飲んでも良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • ストレスがあると症状が強く出やすい

「強い痛み」よりも、“続いている” という事実が大切なサインです。

検査について

必要に応じて、以下の検査を選択します。

  • 内視鏡検査(胃カメラ):粘膜の炎症・潰瘍・逆流の状態を直接確認します。
  • ピロリ菌検査
  • 血液検査

痛みの原因を曖昧なままにしないことが、不安の軽減につながります。

治療とサポート

  • 胃酸を抑える・粘膜を守る薬
  • 胃の動きを整える薬
  • みぞおち周囲の筋緊張へのアプローチ
  • 食事のタイミング・睡眠・姿勢の生活リズム調整
  • ストレス要因を考慮した再発予防

ここで大切なのは、「症状を抑える」だけでなく「症状が出にくい状態を作る」こと。

無理な制限ではなく、あなたの生活に合わせた “続けられる改善” を一緒に組み立てます。

気になるうちが一番整えやすい時期です

みぞおちの痛みは、「そのうち治る」ではなく「今なら整えられる」症状です。

不安なまま様子を見る必要はありません。まずは状態を確認し、安心して生活できるようサポートします。

胃もたれ・食欲不振について

「最近、食事が重たい」「前より食べられない」「なんとなく胃が苦しい」このような胃もたれや食欲低下は、胃の消化機能がうまく働いていないサインです。

一時的な疲れや食べ過ぎで起こることもありますが、“続いている” 場合は注意が必要です。

胃の動きや胃酸の分泌、粘膜の状態、自律神経のバランスは、日々のストレス・睡眠・食事のタイミングによって大きく影響されます。

「年齢のせい」「体質だから」と見過ごすと、食事そのものが負担となり、体力・気力・集中力にまで影響が広がることがあります。

なぜ起こるのか(背景にある主な原因)

① 胃の運動低下

胃が動きにくくなり、食べたものが 胃に停滞 → 重く感じる状態になります。

  • ストレス
  • 寝不足
  • 食事の時間が不規則
などで起こりやすい症状です。

② 胃酸分泌のアンバランス

胃酸が足りない / 出すぎているどちらでも消化のバランスが崩れ、違和感やもたれにつながります。

③ 胃の粘膜の弱り(慢性胃炎 / ピロリ菌)

粘膜が弱ると、少しの刺激でも張り・重さ・不快感が出やすくなります。

④ 自律神経の乱れ

胃は自律神経で動いています。精神的ストレスや疲労があると、すぐに胃の不調にあらわれます。

⑤ 食生活・生活リズムの影響

  • 早食い
  • 夜遅い食事
  • 脂っこい食事
  • アルコール・コーヒーのとりすぎ

これらは 胃の動きと粘膜に直接負担 となります。

放置した場合に起こりやすいこと

  • 食事量の減少 → 体重低下・体力低下
  • だるさや疲れが取れにくい
  • 胃酸逆流 → 胸焼け・喉のつかえ感
  • 胃炎の慢性化
  • 胃の回復に時間がかかる状態になる

症状が軽いときほど、整えれば戻りやすい段階です。

受診の目安

次のような場合は、原因を確認することをおすすめします。

  • 胃もたれが 2週間以上続いている
  • 食事の量が前より 無理なく減っている
  • 飲み込む前に「食欲が湧かない」日が多い
  • 体調や生活リズムにより症状がぶり返す
  • 市販薬を飲んでもすぐ戻ってしまう

体の変化を “慣れ” で片付ける必要はありません。

検査について

  • 胃カメラ(内視鏡検査):粘膜の炎症・胃酸刺激・逆流の有無を確認します。
  • ピロリ菌検査
  • 血液検査(栄養状態の評価)

症状の原因を明確にすることが、回復を最も早くします。

治療とサポート

治療は「症状を抑える」だけでなく、“胃が整った状態を長く維持する” ことが大切です。

  • 胃酸分泌を調整する薬
  • 粘膜を保護する薬
  • 胃の動きを整える薬
  • 食事内容・量・食べる速度の調整
  • 姿勢・就寝前の過ごし方の見直し
  • ストレス要因と体の反応のコントロール

無理な制限ではなく、日常で無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。

「少し気になる」その時点が、最も整えやすいタイミングです。症状が軽い今こそ、良い方向に戻しやすい時期です。不安を抱えたまま過ごす必要はありません。早めに原因を知ることで、生活の質は大きく変わります。

繰り返す便秘について

「数日出ないのが当たり前になっている」「薬を飲まないと出ない」「出てもスッキリしない」このような便秘が繰り返される状態は、腸の動き(ぜん動運動)や腸内環境、自律神経のバランスが崩れているサインです。

「体質だから」「昔からこうだから」と見過ごされがちですが、慢性的な便秘は放置すると全身に影響します。便が長く腸にとどまると、腸内でガスや有害物質が発生し、それが腹部の張り・肌荒れ・集中力の低下・だるさ などにつながります。

「便が出ない」ことは単なる不快感ではなく、体が正常に排泄できていない状態です。

なぜ便秘が続くのか

① 腸の動きの低下

ストレス、加齢、運動不足、睡眠不足などで 腸のぜん動運動が弱まり、便が進みにくくなります。

② 腸内細菌のバランスの乱れ

善玉菌・悪玉菌のバランスが崩れると、ガスが多く発生し、張りや臭い、残便感が出やすくなります。

③ 水分不足・食物繊維不足

食事量の低下や食事バランスの乱れが便の硬さを左右します。

④ 便を「我慢する」習慣

忙しさや外出時に我慢し続けることで、腸が「便意の感覚」を弱めてしまうことがあります。

⑤ 薬の影響

抗うつ薬・痛み止め・鉄剤など、一部の薬剤は便秘を助長します。

便秘を放置した場合に起こりやすいこと

  • 腹部の張り・不快感の慢性化
  • 痔・裂肛 などの肛門トラブル
  • 肌荒れ・ニキビ・疲れやすさ
  • 食欲低下、集中力の低下
  • 腸の反射が鈍り、便秘がさらに悪化

便秘は「放っておくほど治りにくくなる」症状です。

受診をおすすめするタイミング

  • 便秘が週の半分以上ある
  • 便が硬い / 量が少ない / コロコロしている
  • 市販薬・整腸剤を飲んでも戻ってしまう
  • 排便後もスッキリしない
  • 腹部の張りや痛みを繰り返す

「薬で一時的に出す」ではなく、なぜ便秘が起きているのかを明確にすることが大切です。

検査について

  • 大腸カメラ(ポリープ・炎症・腸狭窄の有無)
  • 腹部超音波
  • 血液検査(甲状腺機能・栄養状態)
  • 便検査(腸内細菌バランスの把握)

症状が長引いている方こそ、「原因を突き止める」ことで改善が大きく進みます。

治療とサポート

便秘治療は「薬の調整だけ」ではありません。

  • 腸の動きを整える薬
  • 便を柔らかくする薬
  • 善玉菌・腸内環境を整える治療
  • 食事内容・食べ方の指導
  • 水分と生活リズムの調整
  • ストレスと腸の関係性のコントロール

ただ出せばいい、ではなく「負担なく、自然に排便できる状態」を一緒に作ります。

「ずっとこうだから仕方ない」ではありません。腸は、正しくケアすれば、何歳からでも回復できます。

わずかな生活の調整と、からだに合った治療で、腸は再び活発に動き始めます。

「出ないのが普通」だった毎日を、ちゃんと出る日常へ。不安や困りごとがあれば、いつでもご相談ください。

長引く下痢について

「水のような便が続いている」「お腹が落ち着かない日が多い」「食後に急にトイレに行きたくなる」このような 下痢が2週間以上続いている状態 は、腸が過敏になっていたり、炎症・感染・ホルモン・自律神経などが影響している可能性があります。

一時的な食あたりや風邪の場合、数日で改善します。しかし、“長引いている” 下痢は別の原因が隠れていることが多いため、注意が必要です。

下痢が続くと、体内の水分と電解質(ミネラル)が失われ、だるさ・疲れやすさ・集中力低下が生じやすくなります。また、栄養吸収がうまくできず、体重減少や体力低下につながることもあります。

考えられる主な原因

① 過敏性腸症候群(IBS)

ストレスに反応して腸が敏感になり、「緊張 → 急な痛み → 下痢」という流れを繰り返すタイプです。心と腸は自律神経でつながっているため、精神状態が直接腸に影響します。

② 腸内細菌バランスの乱れ

抗生物質・食生活の偏り・ストレスなどで腸内環境が崩れると、便の形状が安定しづらくなります。

③ 胃腸炎(細菌・ウイルス・寄生虫など)

感染が残っていたり、炎症が長引いている場合、下痢が続くことがあります。

④ 脂肪や糖がうまく消化できていない

膵臓や胆汁の機能が弱っていると、食後に下痢・油っぽい便・浮く便が起こりやすくなります。

⑤ 甲状腺ホルモンの異常

甲状腺機能亢進症では、代謝が上がり下痢が続きます。

放置した場合に起こりやすいこと

  • 慢性的な脱水
  • 栄養吸収不良による体重減少
  • 免疫力の低下
  • 腸粘膜の弱り → 刺激に敏感になる → さらに下痢が続く悪循環

症状が軽くても、「長く続く」ことそのものがリスクです。

受診の目安

次のいずれかに当てはまる場合は、受診をおすすめします。

  • 下痢が2週間以上続いている
  • 食事をするとすぐにお腹が痛くなる / 急にトイレに行きたくなる
  • 市販薬を使ってもすぐに再発する
  • 便に粘液が混じる / 血が混じる
  • 体重が落ちてきた
  • お腹の張りや痛みを繰り返す

「様子を見続ける」よりも、原因を知る方が回復が早い症状です。

検査について

症状に応じて、必要な範囲で検査を行います。

  • 大腸カメラ(炎症・ポリープ・悪性の有無)
  • 腹部エコー
  • 便培養・便性状検査(腸内細菌・炎症マーカー)
  • 血液検査(感染・栄養・甲状腺ホルモン)

検査は「怖いもの」ではなく、原因をはっきりさせるための“最短ルート” です。

治療とサポート

治療は、原因に応じて個別に最適化します。

  • 腸の炎症を抑える薬
  • 過敏反応を調整する薬
  • 乳酸菌・ビフィズス菌など腸内環境を整える治療
  • 食事内容・食事タイミングの調整
  • ストレスと腸反応のコントロール

特に、「腸と自律神経」の関係を理解すると、症状は大きく改善しやすくなります。

「いつものこと」だと諦めなくていい。腸は、正しい治療と生活の整えで確実に回復します。長く続く下痢は、あなたの体からの “助けて” のサインです。不安を抱え込まず、いつでもご相談ください。一緒に、落ち着いた毎日を取り戻しましょう。

血便・黒色便について

便に血が混ざる、トイレットペーパーに血がつく、便が黒く見える。これらは腸や胃のどこかで出血が起きているサインです。

出血の原因は、痔のような軽いものから、腸炎・ポリープ・がんまで幅があり、見た目だけでは判断ができません。

  • 鮮やかな赤い血 → 肛門・直腸・S状結腸 などの下部消化管
  • 黒っぽいタール状の便 → 胃・十二指腸など上部消化管からの出血

というように、便の色は出血場所のヒントになります。しかし、いずれにしても「様子見で放置して良い症状ではない」ことが大切なポイントです。

「痔だと思っていたら、実は大腸ポリープだった」「黒い便を続けていたら、胃炎ではなく潰瘍だった」というケースは、日常診療でも少なくありません。

なぜ起こるのか(主な原因)

① 痔(いぼ痔・切れ痔)

最も多い原因です。排便時の痛み・出血・違和感を伴うことが多いですが、“痛みがない痔” もあります。

② 大腸ポリープ

腸の粘膜が盛り上がったもの。一部は放置すると大腸がんに進展することがあるため、早期発見が重要です。

③ 大腸がん・直腸がん

初期は症状がほとんど出ないため、血便が最初の唯一のサインとなることがあります。

④ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

腹痛・下痢・体重減少を伴うことがあり、若い年代にも多い病気です。

⑤ 胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍

出血すると、血が胃酸で黒く変色 → 黒色便 となります。

気をつけたいサイン

  • 便が黒っぽい / タール状
  • 血便が繰り返し続く
  • 体重が前より減っている
  • 食欲が落ちている
  • お腹の痛み・張りを伴う
  • 貧血気味(立ちくらみ・息切れ)

これらがある場合、消化管のどこかで出血が続いている可能性があります。

検査について

原因を特定するために、必要な検査を行います。

  • 大腸カメラ(内視鏡検査):ポリープの有無・炎症・腫瘍の確認(※ポリープがあれば、その場で切除できる場合があります。)
  • 胃カメラ(便が黒い場合)
  • 血液検査(貧血・炎症評価)
  • 便潜血検査

検査は怖いものではなく、「今どうなっているか」を知るための確実な方法です。

治療について

原因に応じて、治療方法は変わります。

  • 痔の治療:生活指導・外用薬・軟膏・注射治療・手術
  • ポリープ:内視鏡で切除し、将来のがんリスクを低減
  • 感染・炎症:抗炎症薬・食事調整
  • 潰瘍:胃酸分泌を抑える薬・粘膜保護薬

重要なのは「不安なまま放置しないこと」です。

こんなときは、早めに受診してください

  • 血便が2回以上続いた
  • 便の色が明らかに黒い
  • 体調がいつもと違う
  • 「痔だと思うけど確信がない」

血便・黒色便は、 「早めに確認すれば軽く済むことが多い症状」 です。

早く原因を知れば、それが安心に変わります。「大きな病気だったらどうしよう」と思うと、受診は不安になるものです。しかし、わからないまま過ごす時間のほうが、不安は強くなります。

私たちは、“怖がらせる診療” ではなく、“理解して納得できる診療” を大切にしています。

一人で抱えず、いつでも相談してください。

お腹の張り・痛みについて

「お腹が張って苦しい」「ガスが溜まっている感じがする」「シクシク痛む」「周期的に痛みが出る」このような腹部の張りや痛みは、腸の動きやガス、炎症、血流、自律神経など、複数の要素が関わる症状です。

一過性のものなら自然に落ち着くこともありますが、繰り返したり、日常生活に支障が出ている場合は原因の確認が必要です。

「ストレスのせい」「食べ過ぎただけ」と思い込んでしまうと、症状が慢性化し、腸が過敏に反応しやすい状態へ進んでしまうことがあります。

なぜ起こるのか(主な原因)

① 腸の動き(ぜん動運動)の乱れ

腸が「動きすぎる / 動かなすぎる」どちらでもガスがたまり、張り・ゴロゴロ感・痛み につながります。原因:

  • ストレスや緊張
  • 睡眠不足
  • 長時間同じ姿勢
  • 食事リズムの乱れ

腸は自律神経で動いているため、心の状態がそのまま腹部症状に反映されます。

② 腸内細菌バランスの乱れ

腸内細菌のバランスが崩れると、ガスが過剰発生 → 張り・圧迫感・放屁の増加が起こりやすくなります。

③ 過敏性腸症候群(IBS)

腸が刺激に敏感になり、ガス・痛み・下痢・便秘を繰り返すタイプです。ストレスと腸反射が中心に関わります。

④ 食物不耐症・消化吸収の負担

乳製品・小麦・脂っこい食事など「消化に負担がかかる食事」が続くと、腸にガスが溜まりやすくなります。

⑤ 炎症・感染・ポリープ・腸狭窄など器質的な問題

腸の内部に炎症や物理的な狭さがあると、食べ物やガスがスムーズに通れず、痛みが生じることがあります。

放置した場合に起こること

  • 症状が習慣化し、腸が刺激に過敏になる
  • 便秘 / 下痢が交互に起きる悪循環
  • 食事量の低下により体力・集中力の低下
  • 外出・仕事・人付き合いへの影響

「そのうち治るだろう」では、腸はむしろ不安定な状態を覚えてしまいます。

受診の目安

次のような場合は、受診をおすすめします。

  • 張りや痛みが 2週間以上続いている
  • ガスが溜まって苦しい / スッキリ出ない
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 痛みで生活リズムが乱れている
  • 食事のたびに症状がぶり返す

あなたが感じている不快感は、「気のせい」ではありません。体はちゃんとサインを出しています。

検査について

必要に応じて、過不足なく検査を行います。

  • 腹部エコー
  • 大腸カメラ(炎症、ポリープ、腸内環境の評価)
  • 血液検査(炎症・貧血)
  • 便検査(腸内細菌バランス)

検査は原因を明確にし、“どうすればよくなるか” を最短で決めるためのものです。

治療とサポート

治療は、症状に合わせて個別に調整します。

  • 腸の動きを整える薬
  • ガス発生を抑える治療
  • 腸内細菌バランス改善(プロバイオティクス等)
  • 食事内容・食事リズムの整備
  • 姿勢・睡眠・ストレスマネジメント

ゴールは「楽に過ごせるお腹」に戻すこと。無理な制限はしません。普段の生活の中で実現できる方法を一緒に提案します。

「ずっとこのまま」ではありません。腸は回復力のある臓器です。正しいケアを続けると、張りや痛みは確実に落ち着いていきます。

不安や困りごとがあれば、いつでもご相談ください。一緒に、落ち着いた日常を取り戻しましょう。

胃がん検診の異常について

胃がん検診で「異常あり」「要精密検査」と言われると、不安や戸惑いを感じる方が多いと思います。

ただし、ここで大切なのは、「異常」とは必ずしも“がん”が見つかったという意味ではないということです。

胃の粘膜には、炎症・びらん・ポリープ・ピロリ菌感染・萎縮性変化など、「がん以外の原因」による変化が多く見られます。

検診はあくまで「入り口」。精密検査を行うことで、初めて現在の状態を正確に確認できます。

胃がん検診の結果でよく見られる所見

  • 胃炎 / 慢性胃炎
  • ピロリ菌感染の可能性
  • ポリープの疑い
  • 粘膜の萎縮(薄くなっている状態)
  • バリウム検査での影の異常

これらは、いずれも 胃がんと関係する可能性のあるサインであるため、精密検査=胃カメラ(内視鏡)が重要になります。

なぜ胃カメラが必要なのか

胃がんをはじめとする多くの胃の病気は、初期にはほとんど症状がありません。「痛みがないから平気」「食欲はあるから問題ない」と思っているうちに、ゆっくり進行することがあります。
胃カメラは

  • 粘膜の状態を直接見られる
  • 必要に応じて その場で細胞の検査(生検)ができる
  • ポリープはその場で切除できる場合がある

といった点で、最も信頼性の高い検査です。

ピロリ菌について

ピロリ菌は胃がんの発症リスクに直結していることが分かっています。

  • 胃炎 → 萎縮 → 腸上皮化生 → 胃がんへと進行する可能性

という長い時間をかけた変化を起こすため、早期に発見して除菌することがとても重要です。

検査で感染が見つかった場合は、内服薬での除菌治療を行うことで、将来の胃がん発症リスクを抑えることができます。

精密検査を受けるタイミング

  • 「要精密検査」と言われた
  • バリウム検査で異常影があった
  • ピロリ菌が陽性と指摘された
  • 過去に胃炎・潰瘍を繰り返している
  • 家族に胃がんを経験した方がいる

これらに該当する方は、早めに胃カメラを受けることが安心につながります。

検査はつらい?

「胃カメラは苦しい」というイメージを持たれがちですが、当院では鎮静(眠っているような状態)での検査が可能です。

  • えずきにくい
  • 緊張しない
  • 検査が短時間で終わる

できる限り負担を少なく受けられるように配慮しています。

結果を知ることは、“安心”に直結しますもし異常がなければ、安心して日常に戻ることができます。 もし早期の変化が見つかった場合には、小さな段階で治療し、将来の病気を防ぐことができます。どちらにしても「知ること」があなたの健康を守ります。

不安なまま過ごさず、一度しっかり確認しておきましょう。

大腸がん検診の異常について

大腸がん検診で「便潜血陽性(+)」と通知されたとき、「がんかもしれない」と不安になる方は少なくありません。しかし、まず知っておいてほしいのは「便潜血陽性=がんがある」という意味ではない ということです。

便潜血検査は 便に微量の血液が混ざっているかどうかを調べる検査であり、出血の原因は 痔・炎症・ポリープ・大腸粘膜のこすれなど、幅広く存在します。大切なのは、

便潜血陽性 → 大腸カメラで原因を確認することここが、健康を守るための最も重要なステップです。

なぜ精密検査(大腸カメラ)が必要なのか

大腸がんは、初期では症状がまったく出ません。

  • お腹は痛くない
  • 排便もいつも通り
  • 体調も普通

こうした状態のまま、ゆっくりと進行することがあります。だからこそ、“症状が出る前に気づける唯一の糸口” が大腸がん検診の結果なのです。便潜血陽性は、言い換えると「早い段階で気づけたチャンス」です。

便潜血陽性の原因として多いもの

原因 特徴
最も多い。排便時に血が付着することがある。
大腸ポリープ ごく小さい時は症状なし。放置すると大腸がんの元になることがある。
大腸がん(初期) 出血が少なく、検診でしか気づけないことが多い。
腸炎・感染 下痢や腹痛を伴う場合も。

どの原因かは、見た目では絶対に判断できません。

大腸カメラで分かること

  • 大腸全体の粘膜の状態
  • ポリープの有無
  • 炎症 / 傷 / 出血点の確認
  • 必要に応じて、その場でポリープ切除
  • 疑わしい部分の組織検査(生検)

検査を受けることで、「今、腸がどうなっているか」を正確に知ることができます。

検査はつらい?

当院では、鎮静(眠っているような状態)での検査が可能です。

  • 検査中の不快感を抑えられる
  • 検査時間は15〜30分程度
  • 当日帰宅可能(※車の運転は不可)

必要以上に怖がる必要はありません。

放置した場合に起こりうること

  • ポリープが大きくなり、がん化する可能性
  • 進行したがんは、治療の負担が大きくなる
  • 「もっと早く調べておけばよかった」と後悔に繋がる

反対に、今、確認できれば

  • ポリープはその場で切除して終了
  • 初期がんなら体への負担が少ない治療で完治を狙える
  • 「問題なかった」という安心を得られる

どちらにしても、「検査を受けた方が得しかない」のです。

こうした方は特に精査をおすすめします

  • 検診で便潜血陽性と言われた
  • 過去にポリープを指摘されたことがある
  • 血縁者に大腸がんを経験した方がいる
  • 便通の変化(便が細い・下痢と便秘を繰り返す)がある
  • お腹の張りや違和感が続いている

迷ったときは、「確認して安心する」選択をおすすめします。

あなたの不安は、原因を知ることで必ず軽くなります。大腸カメラは、不安を「確かな安心」に変えるための検査です。

「心配だから受ける」のではなく、「健康な未来を選ぶために受ける」検査です。一人で悩まなくて大丈夫です。いつでもご相談ください。

バリウム検査の異常について

健康診断で行われるバリウム検査は、胃や食道の形・動き・粘膜の凹凸を、レントゲンで確認するための検査です。検査後に

  • 「異常影がある」
  • 「要精密検査」
  • 「粘膜に不整がみられる」

といった結果を受け取ると、不安を感じるのは当然のことです。しかし、まず知っておいてほしいのは、バリウム検査は“疑いを見つける検査”であり、診断を確定する検査ではないということです。

ここでの「異常」は、胃がん・ポリープ・炎症・びらん・粘膜の動きの癖など、様々なものを含む “広いサイン” です。そのため、次に必要なのは「胃カメラ(内視鏡)」です。

なぜ胃カメラが必要なのか

バリウムは、「影」を見て判断します。しかし、影ができる理由は複数あります。

  • 粘膜がただれている
  • 胃酸が強く炎症を起こしている
  • ポリープが小さくできている
  • 胃壁が厚くなっている
  • 潰瘍が治った跡があるなど

そして、影だけでは良性か悪性かは区別できません。胃カメラは、

  • 粘膜を直接見る
  • 必要に応じてその場で細胞の検査(生検)を行う
  • ポリープはその場で切除できる場合もある

という点で、最も確実に状態を確認できる検査です。

「異常」が見つかるよくある理由

所見 可能性のある状態
粘膜の不整 慢性胃炎 / ピロリ菌による萎縮 / 潰瘍治癒跡
陰影欠損 ポリープ / 粘膜の小さな隆起
ニッシェ様変化 胃潰瘍 / 十二指腸潰瘍
壁の硬さ(伸びにくい) 炎症 / 硬化性変化 / 稀に腫瘍

この中で“ピロリ菌が背景にある慢性胃炎” は非常に多く、これは胃がんの発症リスクに関わる状態 です。だからこそ、胃カメラでの確認は「今後のリスク管理」そのものです。

放置するとどうなるか

  • 胃の炎症が長期化 → 萎縮(粘膜が薄くなる)
  • 萎縮が進む → 将来の胃がんリスクが上昇
  • ポリープ・潰瘍が進行すると治療の負担が増える

一方で、今確認すればどうなるか

  • 問題なければ安心できる
  • ピロリ菌がいれば除菌でリスクを下げられる
  • ポリープは小さいうちに取って終わり
  • 胃潰瘍は薬物治療で改善が期待できる

結果を知ることは「不安」ではなく「選択肢」を増やします。

当院での精密検査(胃カメラ)について

  • 鎮静(ウトウトした状態)での検査が可能
  • 痛みや不快感を抑えながら短時間で実施
  • 当日のスケジュールもご相談可能

検査は、「つらいもの」ではなく “安心に向かうための手段” です。

不安なまま生活しなくて大丈夫です。「大きな病気じゃなかったらどうしよう」「検査が怖い」「もう少し様子を見たい」そう思う気持ちは自然です。

でも、不安は “知らないまま” の時間が一番強くなります。状態を知ることで、不安は小さく、選択肢は大きくなります。いつでもご相談ください。あなたのペースで進めて大丈夫です。